引越しの掃除で「敷金が返ってくる額」が変わる
引越しが決まったとき、荷造りに追われて掃除を後回しにしていませんか?実は退去時の掃除をどれだけ丁寧にやるかで、敷金の返還額が大きく変わることがあります。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常の使用による汚れや経年劣化は借主の負担にならないと定められています。しかし、退去時に汚れが目立つと「通常使用を超えた損耗」と判断されて、敷金から差し引かれるケースも少なくありません。
この記事では、退去前にやるべき掃除のポイントと、敷金を最大限取り戻すためのコツを詳しく解説します。合わせて、新居での入居前掃除についても紹介していますので、引越しを控えている方はぜひ参考にしてください。

退去前の掃除|場所別にやるべきことを解説
キッチン:油汚れと焦げ付きを徹底除去
キッチンは退去時に最もチェックされやすい場所のひとつです。特にコンロ周りの油汚れ、レンジフードの油膜、シンクの水垢は念入りに掃除しましょう。
コンロの五徳は重曹を溶かしたお湯に30分〜1時間漬け置きすると、頑固な焦げ付きが落ちやすくなります。レンジフードのフィルターも同様に重曹水で漬け置きが効果的です。シンクはクリームクレンザーで磨くと、くすみが取れてピカピカになります。
壁のタイルや壁紙に飛んだ油汚れも忘れずに。セスキ炭酸ソーダのスプレーを吹きかけて拭き取れば、ベタつきがスッキリ落ちます。
浴室:カビと水垢が最重要ポイント
浴室で最もチェックされるのがカビです。ゴムパッキンの黒カビ、天井のカビ、排水口のぬめりは必ず除去しましょう。
ゴムパッキンの黒カビには、カビ取り剤を塗ってラップで覆い、30分〜1時間放置する方法が効果的です。1回で取りきれない場合は、2〜3回繰り返してください。天井のカビはフローリングワイパーにキッチンペーパーを巻き、アルコールスプレーを染み込ませて拭くと安全に掃除できます。
鏡や蛇口の水垢はクエン酸水でパックすると落ちやすくなります。排水口はパイプクリーナーで詰まりを解消しておきましょう。
トイレ:便器の裏側と床の隙間を忘れずに
便器の表面は掃除しても、便器のフチ裏や便座の裏側の汚れを見落とす方が非常に多いです。フチ裏にはトイレ用洗剤をかけて数分放置してからブラシでこすりましょう。
便器と床の隙間にはホコリや汚れが溜まりやすいので、使い古しの歯ブラシで掻き出してください。壁の下の方にも尿の飛び散りが付いていることがあるので、除菌シートで拭いておきましょう。
床・壁・窓
フローリングの黒ずみは住居用洗剤を薄めた水で拭くとキレイになります。ただし、ワックスが剥がれている場合は無理にこすらないでください。経年劣化によるワックスの剥がれは借主の責任ではありません。
壁紙は手垢や汚れを消しゴムでこすると意外と落ちます。画鋲やピンの穴は、通常使用の範囲であれば原則として借主の負担にはなりません。ただし、ネジ穴やアンカーの穴は補修費用を請求される可能性があります。
窓ガラスは内側を拭くだけで十分です。外側の汚れは借主の責任ではありませんので、無理に拭く必要はありません。サッシのレールにはホコリが溜まりやすいので、使い古しの歯ブラシで掃除しておきましょう。
敷金を取り戻すために知っておくべき知識
原状回復のルールを理解する
国土交通省の原状回復ガイドラインによると、「原状回復」とは「借りた当時の状態に戻す」ことではなく、「通常の使用を超えた損耗を復旧する」ことです。つまり、普通に生活していて自然に付く汚れや傷は、借主が負担する必要はありません。
具体的には、日焼けによる壁紙の変色、家具の設置跡、画鋲の穴などは経年劣化・通常損耗に該当し、借主の負担にはなりません。
退去時の立会いで気をつけること
退去の立会いでは、その場でサインを求められても即決しないことが大切です。提示された修繕費用に納得がいかない場合は「持ち帰って検討します」と伝えましょう。
立会い前に部屋の状態を写真に撮っておくことも重要です。スマホで各部屋の壁・床・水回りの写真を撮影し、日付入りで保存しておけば、後日のトラブル時に証拠として使えます。
敷金返還でトラブルになったら
敷金の精算に納得がいかない場合は、まず管理会社や大家さんに書面で交渉しましょう。それでも解決しない場合は、国民生活センター(消費者ホットライン188)に相談できます。少額であれば簡易裁判所の少額訴訟(60万円以下)を利用する方法もあります。
新居の入居前にやるべき掃除
荷物を入れる前がチャンス
新居は「部屋が空っぽの状態」で掃除するのが最も効率的です。荷物を入れてしまうと二度とできない場所がたくさんあるので、引越し当日の荷物搬入前に掃除を済ませておきましょう。
まずは拭き掃除から
ハウスクリーニング済みの物件でも、引渡しから入居までの間にホコリが積もっています。雑巾やウェットシートで、床・棚・窓枠・照明器具のスイッチなどを拭きましょう。特に収納の中は忘れがちなので注意してください。
害虫対策は荷物搬入前に
燻煙タイプの殺虫剤(バルサンなど)を使うなら、荷物がない入居前がベストタイミングです。家具や食器がない状態なら、カバーをかける手間も最小限で済みます。特に1階の部屋や築年数が古い物件では、入居前の害虫対策をおすすめします。
水回りのコーティング
新居がキレイなうちに、シンク・洗面台・浴室にコーティング剤を塗っておくと汚れが付きにくくなります。ホームセンターで1,000円〜2,000円程度で購入できるシリコンコーティング剤がおすすめです。最初のひと手間で、その後の掃除がグッとラクになりますよ。
引越し掃除のスケジュール|いつ何をやる?
引越し掃除を効率よく進めるためのスケジュールを紹介します。
退去2週間前から、使わないモノを梱包しながら少しずつ掃除を始めましょう。キッチンの油汚れやお風呂のカビなど、時間がかかる場所は早めに取りかかるのがポイントです。
退去1週間前には、大型家具を動かして裏側のホコリを掃除します。冷蔵庫の裏や洗濯機の下は普段掃除できない場所なので、このタイミングで一気にキレイにしましょう。
退去当日は、荷物を運び出した後に最終的な拭き掃除を行います。掃除機は最後まで残しておき、部屋全体に掃除機をかけてから退去するのがスムーズです。
新居では、荷物搬入の前日までに害虫対策と拭き掃除を終わらせておくのが理想です。搬入当日はバタバタするので、掃除をしている余裕はありません。
まとめ:掃除ひとつで敷金の戻りが変わる
退去時の掃除は面倒ですが、しっかりやることで敷金が数万円多く返ってくる可能性があります。特にキッチンの油汚れ、浴室のカビ、トイレの汚れは重点的に掃除しましょう。
また、原状回復のルールを正しく理解しておくことで、不当な請求から自分を守ることもできます。退去前に部屋の写真を撮っておくこと、立会い時に即決しないことを忘れないでください。
新居の掃除は荷物を入れる前がゴールデンタイムです。入居前のひと手間が、その後の掃除のラクさを左右しますので、ぜひ取り組んでみてくださいね。


